4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

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 パノプティコンは知的(軽)犯罪者を収監する施設だ。服役囚のIQはほかの刑務所と比べて高い。あらかじめ、一定ラインをクリアしていると言ってもいい。  彼らに精子を提供させ、おもにキャリア系をターゲットに募集をかけ、手っ取り早く出生率を上げようとした――なかなかの外道っぷりだろう?  深刻な少子化が、そう遠くない将来に国力衰退の主因になるとはいえ、道徳性や倫理観を問われかねない話だ。にもかかわらず、政府は即座に実行委員会の編成を指示、臨時国会で予算の大幅増を閣議決定した。  マスコミは当然のごとく政府を叩きまくった。対して政府広報は誠実な情報提供(・・・・・・・)を行った。それはもう気持ち悪いくらいに。  そしてどういうわけか、どのメディアも本腰を入れて批判しているようには見えなかった。
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