4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

101/172
前へ
/965ページ
次へ
 もともと知的レベルが高い連中だ。この機をチャンスととらえ、無理難題をふっかけてくることぐらい予想していただろう。  実行委員会はごねる検事を説き伏せ、取引に応じたとされている。  こういった負の情報は、たとえ根拠がない作り話であっても、すべてが闇の中へと封印された。大した誠実ぶりだ。  そしてさらに、この話には続きがある。精子提供者は選ばれた知的(軽)犯罪者だけではなかったのだ。  国会議員や官僚、グローバル企業のトップらも内々に提供していた。  ただし、彼らの精子は知的(軽)犯罪者のそれとは異なる環境で特別に管理され、“行き先”もあらかじめ決定済みだった。法案を隠れ蓑にしたのだ。
/965ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加