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だけど、一度ついてしまった土はなかなか払い落とせない。
結果として、引き取り手がなく宙に浮いたままの受精卵(フロック・チャイルド)が数多く残されることになった。
最悪だ。
そして話の矛先は、“余り物”の処理方法の追求へとシフトしていった。
当初、政府と少子化対策新案執行委員会は国民に対し、受精卵はしかるべき場所ですべて冷凍保存してあると説明していた。
が、ほどなくして、それは場をしのぐための虚言と判明した。
こうした口裏合わせや処分方法を巡って、少子化対策新案の顛末は世間を揺るがす大事件へと発展していく。
結末から先に言うと、プロジェクト用に集められたスパームや引き取り手のない受精卵は、それらを一括管理・保存していた研究施設の職員によって廃棄されていた、まるでゴミのように。
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