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マスコミは待っていましたとばかりに、連日矢のように騒ぎ立てた。
煽動された世論も然り。
地検と特捜がチーム体制で家宅捜索を行い、押収物やデータの分析/照合は数ヶ月におよんだ。
最終的に、受精卵の無断廃棄(誰に断りを入れれば“無断”じゃなくなるのか分からないけど)が裏付けられた。
保管施設の室長以下上級幹部5名と管理部長の松原友美(32)および一般職員数名、実行委員会No.2で法案の強行に踏み切った、世界的細胞生物学者にして管理アドバイザーの乃木まりあ博士(44)が身柄を拘束された。
焦点は受精卵が“人間”か“物”かに絞られた。
細胞生物学者である乃木まりあは一貫して、受精卵は人間ではないと主張し続けた。
宗教上の縛りがほとんどない日本で起こったからこそ、裁判の動向は逆に世界の注目を集めた。
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