浮遊体（少年少女）オン・ザ・ブリッジ――未完の橋――

４. もう一つの物語 パラグラフⅣ：或は真実の物語

　逮捕・拘束された容疑者のうち、廃棄指示を出したとされる乃木まりあ博士と、博士を支持した室長および上級幹部2名、直接処分を行った管理部長の松原友美ら計5人が、一審で有罪判決を受けた。

　そのほかの職員については、露骨なパワーハラスメントが蔓延していて従うほかなかったなどとして、送検のみで済まされた。

　なかでも、乃木まりあと管理部長松原友美に対する求刑は重かった。

　そして、求刑通り永久終身刑を言い渡されたのだった。

　母となりうる同じ女性の身でありながら、一片の躊躇なく残酷な行為におよんだ――当該裁判官の弁だ。

　これを受け、乃木まりあと松原友美それぞれの弁護団はすぐさま控訴した。

　一審の判決時の口弁は一方的で偏見に満ちている、との主張も忘れなかった。

　二審では、二人とも「心神喪失」を訴えた。そうして明暗が分かれる。