4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

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 松原友美の主張は却下され、乃木まりあの「心神喪失」のみ認められたのだ。  これを不服とした松原友美側はすぐさま上告したが、あえなく棄却された。  典型的な“いけにえ裁判”だった。  僕の考えではどいつもこいつも同罪。引き取りに来なかった“母親”も含めてね。  彼女らはなぜ罪に問われないんだろうな?  僕は――。  フロックチャイルド・プログラム執行本部(Flock Child Program Executive)が、引き取り手のない多くの受精卵の中からたまたま選び出した、ほんの偶然でこの世に生を許された存在――。  行くあてもなくフワフワと宙をさまよい、廃棄される卵になる可能性も十分にあった浮遊体(・・・)だ。
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