4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

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「うぉ、ちょっ、アディ、あそこ見てみろよ! 何だアレ!?」  真宮の素っ頓狂な声が僕を現実に引き戻した。  大方予想がつく。“洗濯物”の登場だろう。 「だからさっきも言っただろ!? ここんとこヘンな女に会うって……」 「違ぇ! あそこ! 人が……何かヘンじゃね? 何やって……」  どうやって上ったんだろう。橋が渡ってない橋桁の一つに人が座っている。  いつだったか“洗濯物”が腕を回して抱いていたあの橋桁だ。  でも、座っているのは彼女じゃない。男だ。  僕らの位置からじゃ表情までは分からない。けど、楽しそうには見えない。  着ている紺のシャツジャケットが風にはためいて、アンダーに着けたショルダーホルスターがチラっと見えた。  私服警官?
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