4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

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「呼んだわ」  いつ来たのか、いつからいたのか、僕らのすぐ後ろに、制服姿の“洗濯物”こと川東結花が端末片手に立っていた。  表情がない。  あんなの間近で見たら、そりゃ多少はショック、だよな。 「あなたたちって仲良しね」  まぁそうかも………――前言撤回。いま訊くこと、それ?  人が死んだんだぞ、それも目の前で。それに俺らの仲がどうだろうと関係なくね? 「おホモ達なの?」  真宮は今しがた見た現実と初対面の女の子からのいきなりの爆弾発言に、僕にしがみついたまま石化した。  取りあえず離れよう、な、真宮?  よく分からないけど、彼女にはいろいろな意味で違和感を覚えた。  まともに相手をするのを早々に放棄した僕は、情けないくらいの震え声で真宮に言った。
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