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「エ、エリに来てもらおう……」
「……う、うん、そう、そうだな」
二人とも、はっきり自覚できるくらいにはうろたえていた。もちろん、拳銃自殺のほうでだ。
エリの携帯は留守電だった。あのオッサンよく携帯忘れるんだった、クソ。
あいにく、店の固定電話の番号は登録していない。ウロ覚えだ。履歴から発掘するのに少し時間がかかった。
バカ由宇次郎、肝心な時にいないって、どんだけ役立たずなの……。
間もなくパトカーが数台駆けつけ、僕と真宮と“洗濯物”こと川東結花は、目撃者として事情聴取されることになった。
とはいえ、僕と真宮と川東結花では、その場にいた時間が微妙に異なるので、聴取は別々に行われた。
これは助かった。人が自分で自分の頭を吹っ飛ばすところを見せられた上に、あの娘のズレた感覚につき合わされるのはごめんだった。
エリがこっちに向かってくれているのを待つ間、無意識に由宇次郎の短縮番号に触れている自分に気づいた。ちっ、腹の立つ!
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