4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

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「ヘンな図だな、オイ。おまえの要求が紅茶とスコーンじゃなく、玄米茶と葛きりっつーのはよ」 「健康志向なら断然和菓子のがオススメー」 「そーじゃなくて………いいやもう、めんどくせぇ」 「ぶっちゃけ見つけるだけなら、時間はかかるが俺たちでも何とかなるだろう。  問題はその時の“状態”だ。警察当局から見て(・・・・・・・・)正常か否か。  判断は内務監査室が厳選したカウンセラーが行うが、今現在消息不明ということは間違いなく正常じゃあねぇだろう。  おっ死んでたり、寝返ってりゃぁ話は別だが……。  今のところ、一番左のオースティンだけは所在が掴めている。  復帰して元気にやっていたらしいが、3ヶ月前、不運にも殉職した。ホーチミン市内の日系ホテルの一室で、暴力団同士の銃撃戦に巻き込まれて死亡したそうだ。  潜入中でもない彼が、なぜ暴力団の会合現場に居合わせたのか、しかも国外の――同僚連中は誰も知らなかったという」
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