4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

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「自己乖離が病的レベルに達していて、仕事どころか日常生活に支障をきたすとなると、“警察の内部事情もターゲットの実態も両方知る、心的ストレスを抱えた厄介な存在”になる。  しかも長期療養となると、その間、一定額を手当として支払い続けなきゃならない。    管理職のオッサン連は、都合の悪いことは全部棚上げして渋面よ。当人の問題なんざお構いナシさ」 「血も涙もないねぇ」 「上層部は増え続ける“厄介者”に頭を悩ませている。だからと言って、大っぴらに排除できるわけでもない。  合法的にやるとしたら、せいぜいが病状を理由に肩をたたくくらいだろう。  それだって組合をバックにゴネられたら事だ。もっと強引な方法をとるってんなら、あとはもう闇処理になっちまう」 「案外そうだったりして。『ダーティハリー2』みたく内部に処刑人がいてさ」 「ありゃぁ“歪んだ正義の行使”だろーが。この場合はもっと……」 「『ノックスファイル』的な?」 「滅多なことを言うな、バカ」
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