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「ま、俺の疑いは別としても、どこかで悩み苦しみながらさまよっているんだとしたら、さっさと見つけ出して平穏な暮らしを取り戻させてやりたい、たとえそれで過去をすべて捨てることになっても――そう思ったワケだ。仏の染谷ってなぁダテじゃねぇのよ」
「……でもさー」
「ガン無視か、コラ」
「(笑) 事情は分かったけど……何で俺? 記憶置換術は、認可された医療機関で今でも行われてるっしょ!?
もともと交通事故や心理的要因による記憶障害の治療が目的で、金満家どもが老化防止~脳の若返り~なんてアホな理由で利用し始める前は、地方の総合病院でもフツーに診療項目に掲げられていた」
「そいつが何で認可制になったと思う?」
染谷が問えば、由宇次郎は涼しい顔で続けた。
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