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そのときだった。染谷が携帯するレシーバーに、襲撃犯らが車を停車した場所の処理に向かった班から一報が入った。
「6班班長長居です。襲撃犯3人の遺体を発見! 銃撃戦があったのはここです! 味方同士で撃ちあった模様! いま映像を送りました! 運転手も車内で死亡、かろうじて息のある1人は様子がおかしい。意識混濁というかラリってるような……耳鼻口から出血してます」
染谷はジャケットの内ポケットから端末を取り出し、送られてきた映像を確認する。
『味方同士で撃ちあっただと!? どういうこった!? 何がどうなってる?』
確かに車の損傷は激しい。フロントガラスやウィンドーは粉々に割れ、ボディは銃痕とおびただしい凹み、歪み、ドアやルーフは外れかかり……激しい横転を何度も繰り返したのだろう。
運転席でシートベルトを着用したまま待機していたなら、ひとたまりもなかっただろう。
シートベルトを未着用なら、もっと酷いことになっていただろうが――。
もともと通行禁止になっている危険区域が、正真正銘、災害直後の封鎖道路のようなありさまになっている。
「現場の様子をできるかぎり詳細に記録してくれ。すぐに応援を回す。それと、生きてる奴に応急処置を――」
「主任! 自分に行かせてください!」先ほどの救命士だ。
「…………そっちの仕事は済んでんだろうな?」
「はい!」
そこへさらに山小屋の裏手を捜索していた班から報せが入った。
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