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それからきっちり30分後にカフェテリアにやって来たエリは、僕らの座っているデッキ席までドカドカと大股で歩いてきて、隣のテーブルのイスをひょいと持ち上げて僕らの方に寄せると、自分も腰を下ろしてフーっと大きなため息を吐いた。
「やれやれだな。おまえ達、大丈夫か? 見て楽しいもんじゃないからな、どんな状況にしろ」
「エリ」
「ん?」
「本当に捜査官だったんだ?」
疑っていたわけじゃないけど、さっきのエリは、僕や真宮が知るエリとは違って見えた……。
「……ああ。何年になるかな、12、13年? おまえらがまだこんま~いガキの時分に辞めたがな」
由宇次郎のこと、その時から知っているんだろうか?
今から12、3年前って言ったら、アイツだって僕らとそう変わらない年の、そう、ガキだったはず。
エリは大きく伸びを一つしてから、僕の頭をわしゃわしゃかき混ぜ「さて、帰るとするか」と言った。
真宮には「おまえはどうする? お袋さん心配してたぞ。良かったな、嫌われてなくて(笑)」
先に連絡してくれたんだ。真宮もボリボリ頬を掻いて笑っている。
エリがいてくれて本当に良かった。
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