4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

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「マジっすか!?」 「マジよ」  真宮ーっっ、何親しげにしょうもないこと喋ってんだー。  僕はストローの先を噛んだまま視線をエントランスの先に移した。“洗濯物”こと川東結花の背中がそこにあった。  運転手(?)に促され、黒塗りのベンツの後部座席にスルリと乗り込む。チラッと見えた横顔は能面みたいに無表情だった。 「ヒュー♪ さっすがゲイテッドのセレブ。ベンツでお迎えかぁ。そこいくと……」 「悪かったな、ママチャリで来て」  エリが真宮の眉間にズビシと指突きを入れる。 「イデデデ」 「帰れよ、おまえ」 「んや、俺も泊まる。一緒に悪いことする」 「悪いことって何だ!?」 「あんなことやそんなこと」 「オイ、ここ警察署だぞ!? いや、その前に母ちゃんに言いつけるぞ」 「え~?」  などとバカなやり取りを繰り広げる。真宮、もう立ち直ったみたい? 早いヤツ。
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