4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

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「自己主張する場所はさまざまだ。通販サイトのカスタマーレビューでやたら好戦的になる人々は、本来の役割下に主体的創造意識を強く抱えていると俺は思っている。  一番手取り早いからさ。一個人の嗜好と価値観――主観のみで世界を裁けるって意味では、現代最強と言うか……最凶とも言う(笑)」  立て板に水を流すように弁舌をふるうザックに、辟易気味なローランドが言う。 「世界を裁くって……分かるような分かんないような……もちっと簡潔に話してくんない?」 「……ったく。ほんとバカな、ローランドって。理解力のなさが危険水域まで達してんですけど。アディのほうがまだマシ」 「は、やだねぇ、有識人気取っちゃってさ。俺はね、実動部隊なの。戦略家と違うの! ホントに何でこんな食えない人間に育っちまったんだか。  こっちが動いてるあいだにちゃんと仕事やっとけよ」 「おまえもな、ローランド」
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