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「………オイ。薄気味悪ィからやめろ」
会議室に入ってきた染谷が、二人のやり取りを見て顔を歪ませる。口に銜えているのは“もどき”の方だ。
「おかえりー。もう行ったから平気だよ」
「平気じゃねーよ、全然。行ったってどこへ行ったんだよ!? ったく、何回見ても慣れねぇ……」
「うん、まあそうだよねフツーは(笑)」
由宇次郎の脇に積まれたファイルの束から一つを抜き出した染谷は、それをパラパラと捲った後、表情もなく言った。
「何話してた?」
「うん? イヤ、大したことじゃないんだけど。出版社が一般に開放している掲示板に、なんつーの? いわゆる誹謗・中傷の書き込みってぇのが増えてんだって、このところ」
「……ふぅん。んなもん、放っておけばそのうちなくなんだろ?」
「俺もそう思うんだけど、企業が直接運営しているサイトだからね。そうも言ってられないらしくて」
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