4. もう一つの物語 パラグラフⅣ:或は真実の物語

167/172

72人が本棚に入れています
本棚に追加
/965ページ
「告発直前だった2月半ば、製造管理部門を中心に黒判定された管理職員全員が相次いで、やれ海外へ転勤だ出張だと、もっともらしい理由をつけてまんまと逃げおおせちまった。  ノアが気づいたときにはすでに逃奔が終了しかけていた。しかも、緊急追跡して判ったんだが奴ら、いるはずの場所に誰ひとりいやがらねぇ。前代未聞の大失態だ。報告を受けた俺たちは、恥を忍んでインターポールに泣きついた。  一方、聖心ファーマーシー内部では、スパイ狩りが進行していた。新入社員は疑われやすい。  ノアは身の安全を図るため、セオリー通りすぐさま現場を離れた。リークがあったのは明らかだった。  だが、ノアほど実績のあるベテランが、“片鱗”を見落とすとは到底思えねぇ」
/965ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加