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廊下からは死角になっていて見えない位置に、人の気配が複数感じとれる。
くぐもった声ながら、ちょっとした言い争いになっているようだ。
「何てことをしたんだ! 誰がそんなマネをしろと言ったっ!? 自分のしたことが解っているのか!」
「怒鳴らないでよ! しかたがなかったのよ! ああでもしなきゃあの人、絶対にあの子を手放さないもの」
「だからって!――……恐ろしい女だよ、おまえは……悪いが俺はもう降りる。殺人の片棒を担がされるなんて真っ平だからな。おまえの腹から出てきたガキだ、あとは独りでどうとでもするさ。
最大限の情けだ、警察には通報しないでおいてやる。もっとも、仮に捕まったとしても、奴らが何とかしてくれるんだろうがな……心底気味悪い連中だぜ。
クソッ、おまえなんかに関わらなければよかっ――ぐっ、うぐぅ、イ、リ……お、ま……ぇ………………」
*
〈いかがですか?〉
『うん、いんじゃない?』
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