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まったく。仲裁するほうの身にもなって欲しい。
やれやれとばかりに肩をすくめるローランドにふと視線を向けた染谷が、その姿を見るや大きく目を見開いている。
先ほどまでの悪臭を放つ汚れた服装から、双子の弟ザックと同じ服装になっている。
「――……いつ、???」
「アンタらが言葉の殴り合いをしている間に」ローランドが微笑む。
「何で今さら驚く必要が!? 腐乱死体には馴れても、これには馴れない?」冷笑しながら言うザック。
「ハイそこ、挑発しない。で? 彼とのファーストコンタクトはどうだったのよ、ザカリアス?」
高級スーツに身を包んだ染谷も思わず、居住まいを正す。自分に注がれる3つの目から、思わず顔を背けるザック。
ちなみに染谷の左目は、海賊のようなアイパッチで覆われている。これは目を損傷しているなどといった理由からではなく、暗順応のためらしい。
ザックは大きなため息を一つ吐くとおもむろに立ち上がり、TVやスピーカーシステムが設置されている壁横に掛かった藍染め暖簾をくぐりながら言った。奥にはキッチンとバスルームがある。
「どうもこうも、馬鹿は死んでも治らないってね」
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