浮遊体（少年少女）オン・ザ・ブリッジ――未完の橋――

５. Aftereffects Ⅴ

「んぁァ？ そういや言ってたっけか、そんなこと……」

　サンドイッチを咀嚼しながら、真宮が気の抜けた反応をよこす。

「それってどういう意味だと思う？」

　僕はカフェオレにミルクと砂糖を追加投入しながら、真宮の顔を正面から見据える。

「どうって…………（もっきゅもっきゅ）かぁーっ、クソうめぇっ！ もしかしてエリって天才じゃね！？（もっきゅもっきゅ）」

　いつまでもっきゅもっきゅ食ってんだ！　マジ訊きしてるんだからマジに答えろ、この魚肉ソーセージ野郎！

✳︎

　下校のチャイムが鳴って、胃の腑から未消化物が勢いよく吐き出されたみたいに前庭が生徒であふれかえる。
　本日はお上の命により数ヶ月に一度行われる、校内制御システム総点検日。

〝何人たりとも居残るべからずデー〟なのだ。

　点検はすべて、文部科学省学校教育統括部が各校に放ったロボットが、校内をスキャニングすることによって行われる。