72人が本棚に入れています
本棚に追加
生徒たちは思い思いにしゃべったりじゃれあったりしながら、ゲートを通過していく。何度となく繰り返され、親しんできた光景だ。
その場で別れて方向転換する者、どこへ寄り道するか話しながら歩道を横広がりになって歩く者、A.I.リングが呼び出したホログラム画像に不平不満を言いながら、タラタラ歩く集団をいまいましげに追い越していく者……いつもと変わらない日常の風景が目の裏側を通り過ぎていく。
僕と真宮もだべりながらフツーにゲートを通過し、駅ビルやショッピングモールや企業ビル、ホテル、そして憩いの緑化公園があるほう――図書館があるほう――つまり、その他大勢の生徒と同じ方向へと歩いていた時だった。
一人の女子生徒がロボコップみたいな連中に両脇を捕らえられ、ズルズルと引きずられていくのが見えた。
「イヤよ、助けてっ! 誰かっっ! 離してよっ! 私が何をしたっていうの! (私はこっちの人間よ!) 離してったらっ! (ぜったいに戻らないわよ! 戻るもんですかっ!) 誰か――」
最初のコメントを投稿しよう!