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「手紙読んだよ。監視がキツイって、例のあの弁護士がってこと?」
真宮が問う。
「そうよっ! マジ頭にくる、あの男っ! なんだって私の周りには腹の立つ輩ばかりいるのかしら?」
それはさー、きみがそういう人間だからだよねー……とは言わないでおく。
ヘルズキッチンのいつものテラス席で、冷たいホワイトチョコレートドリンクを飲みながら、川東結花は久しぶりの外気をからだ全体で受け止め、貴重なひとときを満喫しているようだった。
真宮が追加オーダーをしに席を立ち、特に話すこともない僕らは、たがいの手持ち無沙汰をどう処理すればいいか考えあぐねいていた。
僕はフロックCにピックアップしてもらったニュースを漫然と眺め、川東結花は――…………
僕がいままでただの一度も見たことがない、柔らかく慈しみに満ちていながら同時に上気したような奇妙な表情で、熱心に何かを読んでいた。
紙の本で。
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