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「そんなに面白い?」
僕がやにわに言葉を発したので、川東結花は聞こえてなかったようにしばらく間を置いてから、パッと顔をこっちに向けた。
「え? いまの私に話しかけたの?」
なんか……面白いリアクション。ほかに誰がいると? 目の前に人がいるのに、フロックCと話すのは失礼だろ。そうして欲しいならしてもいいけどさ。
「そうだけど? そんなに驚くこと!?」
ニアブスだけど、ちょっとかわいいところもある。すると、なぜか頰を赤らめて下を向いてしまった。なにそれ。
おずおずと応える様は、いつもの小生意気な彼女とは別人のよう。
「大ファンなの、このシリーズ。幻想的で、誰かの夢の中にそーっと分け入るみたいな感じがして、読んでると胸の奥が高鳴ってきて、イヤなことがあっても元気が出てくるの。電子媒体では読んでいたけど、そうじゃないので読んでみたかったから――」
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