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「帰ろうぜ、真宮!」
僕は勢い良くイスから立ち上がり、リュックを肩にかけた。
「――えっ、あ、あぁ……いやでも、彼女に話を聞かないと――」
しどろもどろながら異を唱える真宮。頭に血がのぼっていた僕は、真宮にも八つ当たりモードオンにして噛みついた。
「分かった。好きにすればいい。けど、俺は帰る! こんなとこ一秒たりともいてたまるか!」
テラス席を縫うようにズンズンと歩を進める。真宮は追ってこない。別にいいけど、薄情なヤツめ! 裏切り者!
怒りの感情で昂ぶっている僕の心は、あっという間に毒にまみれてしまった。
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