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「何を読んでいるの? ずいぶん熱心ね」
同僚の言葉にハッとして顔を上げる。資料が厖大で、ここ数日眼精疲労が酷い。
眉間を揉みほぐしながら、
「前の彼女の資料。ぜんぶ目を通しておかないといけなくって……もううんざり、降参したい。暗いんだもの」
「(笑)一服する?」
「いいわね」
席を立とうとしたその時だった。懸命にアピールする“彼女”をモニター越しに認め、すぐさまオンラインにする。
「やっとつながった。ずっと呼んでたのに何してたのよ、腹立つ!」
「ランニングは?」
「とっくに終わったわよ! そんなことより、あそこ! 何か引っかかってるの、何かしら? 光にキラキラ反射して――」
「10010号、触っちゃダメよ。私が行くまで動かないで! そこでじっとしてて!」
「どうやったら触れるっていうのよ!? スパイダーマンじゃないのよ!?」
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