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遊歩道では、自転車は降車しなければならない。
一時期、敷地の最外周をトラック代わりにして猛スピードで疾走するロードレーサーらによる衝突事故が相次ぎ、小さな子供を持つ親を中心に、管理区に対策が求められていた。
おかげで競技用は言わずもがな、一般の自転車までが場所場所で細かく制限される結果になったのだった。
駐輪場でおのおの駐輪し、タブレットやファイリングした資料が入っているリュックやトートバッグを肩にかける。
押し黙ったままひと言も口をきかない相棒に、業を煮やした真宮が口火を切った。
「なに怒ってんだよ、アディ」
「別に」
「別にじゃないだろ！？ 言いたいことがあるならはっきり言えよ」
「……何で、……謝ったんだよ、さっき？ 悪いのは向こうなのに、あれじゃまるでこっちに非があるみたいじゃないか！」
そうくると思ったとばかりに、肩をすくめる真宮。
「何でもなにも、言っただろ？ 危ないヤツだったらどうするんだよ？ おまえ今朝のニュース見てないのか？ 最近はどこも治安が悪くなってきているらしいぞ。用心に越したことはない」
「あんな（見た目が）チャラい男、一発で伸すし」
鼻先で笑うアディに、真宮は呆れて二の句が継げない。
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