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勝手口奥の階段下が、いつもの駐輪スペースだ。チャリを引いて勝手口のドアを開ける。
「じゃ、また後でね」
「おう」
僕と真宮は、街の中心部にある公立図書館へと向かった。
ここでレポートの資料を見繕うのが本日のメインワーク……ではなく、ずっと調べていることがあって。
でも、それで何が分るのか、僕ら自身がいまイチ把握できていない。
そんなんで調べ物が成立する訳がない――まぁそう思うよね、フツーは。
知るべきことが何なのか知るために調べている。
そうして、分ったことを一部始終記録して残す。
人間がまがい物の知能――本物よりずっと優秀な――に管理され尽くしている今日、そんなことに情熱を傾けるのは、どう見ても不毛だ。
フロックCにもことあるごとにそう指摘される。果敢無い作業をダラダラ続けることによって、どれだけの貴重な時間をロスすることになるのか、グラフ化(見える化)して提示してくる。
でも。
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