0. Aftereffects(アフターエフェクツ) Ⅰ

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 勝手口奥の階段下が、いつもの駐輪スペースだ。チャリを引いて勝手口のドアを開ける。 「じゃ、また後でね」 「おう」  僕と真宮は、街の中心部にある公立図書館へと向かった。  ここでレポートの資料を見繕うのが本日のメインワーク……ではなく、ずっと調べていることがあって。  でも、それで何が分るのか(・・・・・・・・・)、僕ら自身がいまイチ把握できていない。  そんなんで調べ物が成立する訳がない――まぁそう思うよね、フツーは。  知るべきことが何なのか知るために調べている。  そうして、分ったことを一部始終記録して残す。  人間がまがい物の知能――本物よりずっと優秀な――に管理され尽くしている今日、そんなことに情熱を傾けるのは、どう見ても不毛だ。  フロックCにもことあるごとにそう指摘される。果敢無い作業をダラダラ続けることによって、どれだけの貴重な時間をロスすることになるのか、グラフ化(見える化)して提示してくる。  でも。
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