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廊下で背中を丸めて、一心不乱にこびり付いた汚れを刮げているメンテナンス員の横を通り過ぎ様、たがいに声を掛け合う。
「よう、検索屋。今日はまたずいぶんと遅いお出ましだな」
「やぁドッグ、こんちは」
顔を上げた彼に、いい笑顔の僕。
「ちーっす」
「今日は今週前半に苦労してピックアップした資料のうち、いくつかを厳選して申請、スキャンするだけだからすぐ終わる。閉館時間には間に合う予定だよ」
「ふうん。ま、頑張りな」
「ありがとう、ドッグもね」
「あぁ……――そうそう、新しい司書が決まったらしいぞ。さっき館長が案内して回ってた」
「え、ここ司書なんかいたんスか。俺、一度も会ったことないけど」
真宮が素直に疑問を口にすると、ドッグも笑いながら答えた。
「おぅ、俺もだ」
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