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僕は知りたいんだ。
僕の現在の暮らしは灰色の薄靄に包まれているみたいで、ひどく心許ない。
カーテンが引かれた奥の部屋に、何か大事なものを置き忘れてきたような感覚がある。
誰かが創った虚構の世界を生きているような気がしている。
神様の話じゃないよ? そうじゃなくて……
別の場所で別の人生を歩んでいた夢を、夢の片鱗を、僕は見る。
もしかしたら、思春期を拗らせているだけかもしれないけど――だったらなおさら、この馬鹿げた妄想の正体を突き止めなくちゃならない。
僕の頭の中にわずかに残っている気がする、記憶の断片が嵌る先を、探し当てなければならない。
なぜそんなものが残っているのかを、知らなければ――。
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