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翌日の放課後。
僕は橋の上でぼんやりとコロセウムを眺めていた。
用事のあるお袋さんの代わりに、弟妹の面倒を見なきゃならないから、少しのあいだ待っててくれと真宮から連絡があった。
無理しなくていいからと言ったのに、待てといって聞かない。何をそんなに必死になってるんだか……。
そもそも、これは僕の“違和”であって、昨日ドッグが話したように、真宮自身はそんなものに囚われているわけじゃない。
なのに、どうして手伝ってくれるんだろうな?
そんなことを考えていたら、橋下の遊歩道を、スマホ片手にのんびり歩いて来る川東結花が見えた。
ヤバイ! とっさに身をかがめて隠れたところに、
「うぉーいアディ、待たせちまったなぁ」と真宮。
何てタイミングだ。
片方の人差し指を口元に、もう一方で下方を指差す僕に、真宮は首を伸ばして遊歩道を確認する。
小さく頷いてから亀みたいに首をすくめ、何食わぬ顔でチャリを押し、そのまま通り過ぎようとする。
すると。
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