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Ⅰ. もう一つの物語 パラグラフⅠ:22年前、告白
“声”によれば、襲撃犯三人が仲間同士で撃ち合うようしむけたのは自分だという。
「簡単だったよ。誰かひとりが仲間をバンって撃つ。バンバン、バンバン、バンバンバンバンバン! みんなで撃ち合ってハイおしまーい!」
『ハイおしまーいって、あのな……』
梶井が直接手を下して殺したのが1人、間接的に死に至らしめたのが1人、そして7歳の子ども(らしきもの)に、しむけられて死んだのが3人――だがいったいどうやって!? 残りの2人は? 梶井はなんで昏睡状態に陥った?
「ねぇ、僕を捕まえる?」“声”は悪戯心に満ちている。
「いいや」
「どうして? 人を殺したのに? 悪いヤツらでも殺したら捕まるんでしょ!」
「悪いヤツらが先に襲ってきているから、正当性が認められれば必ずしもそうはならない。これは普通の事件の場合な」
染谷はふところからもどき煙草のケースを取り出してくわえた。
「彼らがここで何をしていると思う?」
「えっと……何て言うんだっけ? ドラマでよくやってる……げ、現場……検証?」
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