8. もう一つの物語 パラグラフⅦI:裂け目

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8. もう一つの物語 パラグラフⅦI:裂け目

   月曜日。  早起きして学校に向かう。エリが店を開けに来る前に出かけておきたかった。  あのあと、由宇次郎は自分のスペースで何やら別のことをし始めた。  僕がベッドに入る時にはまだ、デスクライトがこうこうと付いていた。だからまだ寝ているはず。寝入りばなにボソボソ話し声がした気がするんだけど、電話かもしれない。深く考えるのは止めておこう。  一番気がかりなのは、やっぱり川東結花のこと――と言っても、個人的に彼女がどうこうっていうんじゃない。これは誓って本当。好みじゃないっていうか、あの娘はそういう対象にはなり得ないと思う。  彼女の背後にあるものが、由宇次郎やエリにどう関係しているのか、そこのところを僕なりに調べたいと思った。探偵ごっこ? 何とでも言いなよ、僕は気にしない。
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