第一話:幼女狩りゲーム

10/15
前へ
/178ページ
次へ
「……あ?」 ヤンキーの一人が、間抜けに口を開ける。 その横で、倒れ込むもう一人のヤンキー。 その眉間から、流れ出す朱。 彼女の銃弾は、性格にヤンキーの一人を撃ち抜いたのだ。 「ぎゃあああああっ! トシ君!?」 「マジかよ! いかれてやがるよぉぉ!」 目の前の現実が受け入れられず、騒ぎ出す幼稚な餓鬼共。 その声を聞いても僕は、同情の欠片すら湧かなかった。 「てめえ警察か!? なにしてくれちゃってんのよおお!」 「俺達はね! 守られてるのよ! 少年法に! わかってんの!?」 ヤンキー達が口々に、クソみたいな権利を主張。 だが彼女は意に介さない。 「少年法か。そういうものが適用されるな。人間には」 「でしょおおお!? 問題よ!? これ大問題で……」 その瞬間、もう一度銃声。 頭を吹っ飛ばされるヤンキーに、彼女はもはや聞こえない言葉をかけた。 「人間には人権がある。だが、貴様等のようなゴミにはそんなものはない」 彼女が見つめる瞳、絶対零度。 ヤンキー達は凍り付いたように、動きを止めた。 「私の名は、寸沢嵐(すわらし)エリザ。貴様等のようなゴミを処理する掃除屋(クリーナー)だ」 夜の闇を裂く、凛とした声。 それを聞いて、僕はなぜか涙を流していた。
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加