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「……あ?」
ヤンキーの一人が、間抜けに口を開ける。
その横で、倒れ込むもう一人のヤンキー。
その眉間から、流れ出す朱。
彼女の銃弾は、性格にヤンキーの一人を撃ち抜いたのだ。
「ぎゃあああああっ! トシ君!?」
「マジかよ! いかれてやがるよぉぉ!」
目の前の現実が受け入れられず、騒ぎ出す幼稚な餓鬼共。
その声を聞いても僕は、同情の欠片すら湧かなかった。
「てめえ警察か!? なにしてくれちゃってんのよおお!」
「俺達はね! 守られてるのよ! 少年法に! わかってんの!?」
ヤンキー達が口々に、クソみたいな権利を主張。
だが彼女は意に介さない。
「少年法か。そういうものが適用されるな。人間には」
「でしょおおお!? 問題よ!? これ大問題で……」
その瞬間、もう一度銃声。
頭を吹っ飛ばされるヤンキーに、彼女はもはや聞こえない言葉をかけた。
「人間には人権がある。だが、貴様等のようなゴミにはそんなものはない」
彼女が見つめる瞳、絶対零度。
ヤンキー達は凍り付いたように、動きを止めた。
「私の名は、寸沢嵐エリザ。貴様等のようなゴミを処理する掃除屋だ」
夜の闇を裂く、凛とした声。
それを聞いて、僕はなぜか涙を流していた。
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