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「貴様が最後だな」
エリザさんがヤンキーを見下ろす。鋭い瞳。
しかし残ったヤンキーは、へらへらとにやついた笑み。
その瞳からは、諦観の念がにじみ出ていた。
「ああ、最後だよ。だからどうしたよ。とっとと殺せよ」
ヤンキーの言葉に、エリザさんの表情は不変。
「俺は死んでも構わないと思って来てんだ。誰からも期待されてねえ人生でよ。ヒャハハ!」
「なるほどな」
エリザさんの声が更に冷たくなる。
「全く、この国の法律は不完全だ。一番重い罪が死刑では、貴様のような死を物ともしないクズは裁けぬと思っていた」
「そのとーり! ほら、殺せよ。さあ!」
煽り立てるヤンキーに、エリザさんが掲げるは冷たいナイフ。
「ああ、殺すさ。だが、ただでは殺さん」
エリザさんが、ヤンキーの瞳にナイフを突きつける。
途端に恐怖に染まるヤンキーの表情。
「じっくりねっとりいたぶって殺してやろう。まずは両目を潰し、指を一本一本切り落とす」
「は、はあっ!? そんなの無しだろ! 俺達にも人権が」
「ゴミにはそんな物はない。さあ、まずは目だ。知っているか? 眼球にナイフを突き刺すとな、プシュッて弾けた音と激痛が直接脳内に響くんだ。なかなかできる体験じゃないぞ」
「やめ、やめろおおおお!!!」
ヤンキーの悲鳴が響きわたる。
その声を遠くに聞きながら、僕はついにその意識を手放した。
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