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「そろそろ、かな……」
紫苑の口元には、ゆがんだ笑み。
狂った瞳が映し出すのは、自ら作り上げた肢体。
「内臓、人工皮膚、そして脳。僕が生涯培ってきたすべてを君に捧げたよ。僕は君を生み出すために生きてきたと言っても過言ではない」
紫苑が〝彼女〟の横に置かれた機械を一瞥。
「これはパンドラの箱。ブラックボックス。作り上げた僕ですら覗けぬ禁忌。でも、君という存在を形成するためには必要不可欠なものさ」
紫苑が語ると、目の前の〝女性〟がゆっくりと瞳を開く。
そこには確かな知性が醸し出されていた。
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