69人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ
「さしずめ、僕はご都合主義を演出する神様さ」
「ずいぶんと独善的な神様もあったものですね」
「ああ、なんとでも言ってくれ。僕にとって君はこの世界よりも大切だ。地獄に堕ちようが、倫理観が崩れようが、世界中を敵に回そうが、関係ない。僕は君を愛しているのだから」
「でも……私が好きなのは……」
「ああ、分かっているよ。仕方ないさ。どんな化学をもってしても人の心は縛れないものだからね。そんなことができるのなら、僕のこの恋を消し去ってしまった方がどれほど楽か」
「詩人ですね」
「いや、詭弁使いさ」
笑いあう二人の間には、確かな信頼。
「さあ、君を待っている人がいる。行くんだ。僕は機械仕掛けの神、デウス・エクス……」
「マキナ……なのです」
少女の姿をした作られしものは、にっこり笑って研究所を飛び出した。
最初のコメントを投稿しよう!