第八話:弔いの銃弾

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「さしずめ、僕はご都合主義を演出する神様さ」 「ずいぶんと独善的な神様もあったものですね」 「ああ、なんとでも言ってくれ。僕にとって君はこの世界よりも大切だ。地獄に堕ちようが、倫理観が崩れようが、世界中を敵に回そうが、関係ない。僕は君を愛しているのだから」 「でも……私が好きなのは……」 「ああ、分かっているよ。仕方ないさ。どんな化学をもってしても人の心は縛れないものだからね。そんなことができるのなら、僕のこの恋を消し去ってしまった方がどれほど楽か」 「詩人ですね」 「いや、詭弁使いさ」 笑いあう二人の間には、確かな信頼。 「さあ、君を待っている人がいる。行くんだ。僕は機械仕掛けの神、デウス・エクス……」 「マキナ……なのです」 少女の姿をした作られしものは、にっこり笑って研究所を飛び出した。
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