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※※※
「う……ん……」
目を覚ますと、白色のリノリウム。病院のベッド。
泥が纏わりつくような、倦怠感。
のぞき込むのは、エリザさんの瞳だった。
「気がついたか」
「ここは……僕はいったい……」
「待て。整理してやる。『嬉しいニュース』『凄く嬉しいニュース』『少し悲しいニュース』どれから聞きたいか選べ」
「……嬉しいニュースでお願いします」
「車の中にいた子供達だがな、全員助かったよ」
「本当ですか!?」
エリザさんの言葉に、僕は怪我を忘れて飛び跳ねそうになった。
「今回、親が殺されていた子はリョウコが保護した。リョウコは犯罪で親を亡くした子を支援する施設を運営しているんだ」
「そうですか……よかったです。じゃあ、少し悲しいニュースって……」
「貴様は死んだ」
「は?」
「貴様の精神力は大した物だったが、体がついていかなくてな。合法な方法では救えなかった。だから貴様は、死んだという事になっている」
「どういうことですか!?」
「ちょっと体を弄らなくてはならなくてな。内臓強化と共に筋力を増強し、骨は全てチタン製に作り替えた。そんじょそこらの銃弾など目じゃないぞ」
「ちょっと待ってください」
あまりに理解の追いつかぬ言葉に、僕は思わずエリザさんを制した。
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