第二話:健康で文化的な生活を送る最低限度の転売

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「さてと……」 田沼が携帯を取り出し、電話をかける。 その相手は、息子のトオルだった。 「誕生日おめでとう。もうすぐ帰るからな。あ、もちろんプレゼントは買ってあるぞ。うん、うん……」 和らいだ表情で話す田沼。 だがその瞬間、彼の腹部に激しい痛みが走った。 「うぐっ……!」 膝をつき、倒れ込む。 もはや、それ以上声もでない。 「ケッ! ざまあみやがれ」 それを見下ろすのは、先ほど田沼に生活保護を打ち切られた木崎雄二だった。
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