第二話:健康で文化的な生活を送る最低限度の転売

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「では、次のニュースです」 「ん?」 不意に、付けっぱなしのテレビからキャスターの声。 そこに映されていたのは、人相の悪い中年男性だった。 「数日前、生活保護を不正受給していた男が職員を逆恨みして殺害したそうね。今も逃走中だって」 リョウコさんが、表情をしかめながら語る。 「全く、この世の中にはゴミが多すぎるな。見つけたら処理してやりたいところだ」 「でも、こんな小悪党は警察ですぐに捕まえちゃいますよ。どうせ派手なことはできないと思いますしおすし」 エリザさんの苛立ち混じりの言葉に被せるように、マキナさんの明るい声。 意外とこの三人はバランスが取れているのだということが、見ているだけで分かった。 「さあ、そろそろお開きの時間よ。エリちゃん、トウゴ君を送ってあげなさい」 「ええー! もうですかあ? ぶー」 膨れっ面のマキナさんに、僕は思わず苦笑した。
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