第二話:健康で文化的な生活を送る最低限度の転売

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※※※ 「この度はご愁傷様です……」 田沼隆の告別式は、しめやかに執り行われていた。 涙する母親の横には、隆の息子であるトオル。小学四年生。 自らの誕生日に父親を失った悲しみを味わいながらも、必死で涙をこらえていた。 「ママ……大丈夫。僕がいるから……!」 日に日にやつれ行く母に、トオルが囁く。 手には、父親が最後に買ってくれたおもちゃの剣。 これからは、父の代わりに自分が母を守る。 幼い彼は、そう心に決めていた。
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