第二話:健康で文化的な生活を送る最低限度の転売

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「お前らがあの男の家族かよ。おらぁ!」 木崎がにやつきながら、トオルに蹴り。 「うわぁっ!」 いともたやすく吹っ飛ばされるトオル。 それを見ながら、木崎は母親の亡骸を踏みつけた。 「てめえの旦那のせいで俺の人生狂っちまったんだよ!」 「や……やめて……!」 トオルが泣きじゃくりながら、這うように母親の傍へ移動。 「もうやめてよ……! お金が欲しいんでしょ……これあげるから……もうママには手を出さないで……」 涙を流しながらトオルが差し出したのは、父の形見の剣。 しかし木崎はそれを見て馬鹿にしたように笑った。 「これ、出回りすぎてて未開封でも定価以下の値段しかつかねえゴミじゃねえか! いらねえよ、こんなもん!」 「あ……」 トオルの目の前で踏みつけられる、父の形見。想い。 呆然とする少年を見て、木崎は愉快そうに笑い続けていた。
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