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※※※
「リョウコ、追いつけそうか?」
「んー、分からないわぁ」
僕を乗せた車は、猛スピードで夜の街を疾走する。
「衛星映像によると、対象の車は山中公園方面を走行中ね」
「目的地が分かれば先回りができるのだが……」
ショートヘアの女性が、苦々しげな口調。
僕はハッと思い立つと、喉から声を絞り出した。
「……あいつらさっき『こっちはまだ8人』とか言ってました……。他にも同じようなことをしてるグループがあるのかも…‥がふっ!」
「ああ! 喋っちゃだめなのです! 死んじゃうですよ!」
むせかえった僕に、マキナと呼ばれていた少女の叱責。
だが、エリちゃんと呼ばれていたショートヘアの女性は、さもうれしそうに声をあげた。
「だが、有益な情報だ。これで貴様が死んだとしても無駄死にではないぞ」
縁起でもないこと言わないで…‥。
「リョウコ! 他に猛スピードで走っている車はないか調べろ! あれば、二台の向かっている方向から落ち合えそうな広い場所を特定するんだ!」
「あるわね。恐らく二台が向かっているのは大赤埠頭よ」
「よし! 大赤埠頭に向かって全速力だ! マキナ、お前の医療隊にも連絡をしろ!」
「おっけーなのです♪」
僕の目の前であらゆることが暴かれ、的確な対処が行われている。
この人達は、いったいなんなんだろう……。
その疑問が、僕の意識をつなぎ止めていた。
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