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「マキたんの殺害と性的暴行に、道化師は一切手を下していなかった。だけど道化師が唯一具体的に指示したところがあったんだ」
「ほう、それはなんだ?」
エリザさんの返答に、紫苑さんが赤ペンを取り出す。
「マキたんの身体にナイフを差し入れる位置、だよ」
紫苑さんの言葉に、エリザさんが目を見開く。
「あいつはマキたんの身体に印を付け、ここにナイフを刺せと指示していた。あの場所はね、ちょうど内臓や急所から外れる部分……つまり、マキたんを殺さずに苦痛を与え続けられる部分なんだよ」
「そんな……」
紫苑さんの言葉に、僕は驚愕。
「内臓の位置は誰でも大体同じだけど、体型などによって僅かな個人差はある。道化師はマキたんの臓器の位置を正確に把握していたんだ」
「そんなことを知っているのは貴様くらい……というわけか」
紫苑さんは、唇を噛みながら首肯した。
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