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「その通り、それを見て僕は戦慄したよ。道化師の筋書きでは、僕が冤罪逮捕されることになっているのだと痛感したね」
「我々としては、あれだけの武器や拷問道具を調達し、なおかつ証拠隠滅まで速やかに済ませる手口を鑑みて貴様が怪しいと踏んでいた」
「だろうね。そっちからでも僕にたどり着く。完全に僕を罠に嵌める気なんだよ、道化師は」
大きなため息を吐く紫苑さんに、エリザさんが鋭い瞳。
「なにやら、自分は嵌められているという前提で話を進めているようだが、我々は疑いを解いたわけではないぞ」
「わかってるさ。でも君は疑わしきで罰するような人間ではないこともわかってる。だからこそ、僕は気づいた全てを共有しているのさ」
紫苑さんの言葉が真実なのかどうか、僕にはわからない。
しかし彼の瞳には、隠しようのない怒りが滲んでいた。
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