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「勘違いしないで欲しいんだけど、君達から見て僕の愛情は歪んでいたとしても、この想いは本物だ。彼女が苦しむ姿なんて見たくはなかったし、ましてや殺そうなどと考えたことはない」
「まあ、マキナも困ってはいたが、お前のことを本気で嫌ってはいなかったからな。困ってはいたが、な」
エリザさんの言葉には、少なからず紫苑への共感と信頼が込められている。
本来、エリザさんは彼を疑いたくなど無いのだろう。
だが、状況証拠を積み上げた結果、彼にたどり着いてしまったのだから、仕方ないのだ。
そして紫苑さんも、それをわかった上でこちらに協力してくれている。
二人の絆は、僕が思うよりも深い気がした。
「そういえば、トウゴ君だっけ?」
不意に、紫苑さんが僕に話を振る。
「君はまだ、マキたんについて何も知らないだろう?」
「は、はい」
「なら、教えてあげるよ。マキたんが君に吐いていた嘘も含めて……ね」
紫苑さんの言葉に、僕は思わず息を呑んだ。
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