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「本当に紫苑さんが道化師なのでしょうか……」
「さあな。まだ何とも言えん」
車の中で、僕はエリザさんと対話。
紫苑さんとは初めて会ったが、悪い人のようには思えなかった。
疑わなくてはならないことは、悲しいことだ。
「そういえば……エリザさんはどうして掃除屋になったんですか?」
ふと思いついてしまった疑問を口にして、僕はしまったと思った。
マキナさんの境遇はあまりにも辛いもの。
だとすればエリザさんも、きっと大変な事情があって今に至るのだろう。
そんなことをうっかり聞いてしまった自分の迂闊さに腹が立った。
「あ、ごめんなさい! 話したくないですよね」
「ん? 別に構わんぞ。貴様は私の相棒なのだからな。理解を深めあうことも大事だろう」
慌てる僕に、エリザさんは拍子抜けするほどに平然とした顔。
そしてエリザさんは、迷うことなく口を開いた。
「私の両親はな……ゴミだったんだ」
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