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「よし、到着だ。マキナ、医療隊は?」
「もうすぐ来ますよ。敵さんよりは早くですね」
「よし、上出来だ」
猛スピードで、道かどうかすら怪しい場所を突っ切り、僕を乗せた車は大赤埠頭にたどり着いていた。
エリちゃんが素早くどこかへ身を隠した直後、巨大な車が横付けされた。
「医療隊到着です♪ これであなたも子供たちもしっかり治療ができるのです」
マキナさんがウキウキとした様子で語る。
だがそこには聞き捨てならない言葉が混じっていた。
「子供……?」
「さっきあなた、八人って言いましたよね? 車に元気な状態の子を八人も乗せて移動するのは無理です。〝動かなく〟してるって考えるのが自然なのですよ」
そんな……!!
僕の脳裏に、笑顔で敬礼をしてくれた女の子の顔がよぎる。
もはや現実の全てが、信じられなかった。
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