第八話:弔いの銃弾

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*** 「豊島証券……これが津坂の務める証券会社ですね」 「そうだな。リョウコからの連絡はまだのようだ。しばし待とう」 車の中で、僕とエリザさんは腕組み。 動画の中で、津坂は嬉々としてマキナさんを凌辱していた。 そして決定的なのは、マキナさんの殺害にも積極的に関わっていたことだ。 道化師の用意した拷問器具を用い、マキナさんの身体を切り刻んだ。 あの残虐ぶりは、まさにゴミと呼ぶにふさわしい。 リョウコさんが偉い人に掛け合ってくれているとのことだが、認められてほしかった。 「ん? リョウコからの連絡だ」 エリザさんが携帯電話をとる。 スピーカーホンにされた音声が、僕の耳にも飛び込んできた。 『もしもし。掛け合ってみたけど、現段階ではまだ司法の判断に任せよとのことだったわ。今後、継続して犯罪行為を行う可能性が現状では不明確だからとのことね』 そんな……! リョウコさんの言葉に、僕は俯く。 だが続けざまに聞こえた言葉は希望があるものだった。
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