第八話:弔いの銃弾

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『ただ、津坂に対しては臭う部分があるの。私や警察でも調査中なんだけど、他の犯罪にも関わっている可能性があるわ』 リョウコさんの言葉に、エリザさんの眉が動く。 「ほう、詳しく聞かせろ」 『彼が今の地位に到達するまでに、周囲に不自然な失脚をした人間が大勢確認されているわ。また、彼が多くの女性と会っていたという情報もつかんでいる。たたけば埃が出るかもしれないわね』 「なるほどな」 それを聞いて、エリザさんが考え込むような仕草。 『すくなくとも、それをすべて立件できれば彼の罪は相当に重くなるはずよ。また、他にも重大な犯罪行為にたどり着くかもしれない。道化師がどうやって彼のことを知ったのかはわからないけど、清廉潔白な人間にあんなことを持ち掛けるとは思えないもの。少なくとも、彼が殺人に加担すると確信できるだけの何かがあるはずよ』 リョウコさんの言葉に、僕は大きく頷いた。
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